僕は長い昼と長い夜を過ごす*小路幸也

  • 2010/07/13(火) 20:30:26

僕は長い昼と長い夜を過ごす (ハヤカワ・ミステリワールド)僕は長い昼と長い夜を過ごす (ハヤカワ・ミステリワールド)
(2010/06/24)
小路 幸也

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ミステリ・青春・家族etc… 少し奇妙で胸を打つ小路ワールド最新作。僕の一日は五十時間起きて二十時間眠る。拾った二億円と謎の〈種苗屋〉ナタネさん。奪還屋、強奪屋。 非二十四時間睡眠覚醒症候群。15年前、強盗に殺された父親。ゲームプランナーとしての経験。すべてのピースを活かして、周りのひとたちを守るんだ。 50時間起きて20時間眠る特殊体質のメイジ。草食系でのんびりした性格に反し、15年前、父親を殺されたというハードな過去の持ち主。現在はゲームプランナーをしつつ、体質を活かした〈監視〉のバイトをしている。だが、そのバイトのせいで二億円を拾ってしまい、裏金融世界の魔手に狙われる羽目に。メイジは戸惑いながらも知恵と友情を武器に立ち向かうが、この利とも枷ともなる体質が驚愕の事態を招く。


躰は健康そのものなのに、五十時間起きて二十時間眠るという病気のために、一般的な仕事に就けず、事情を理解してくれたゲーム会社<トラップ>でプランナーをしている森田明二(メイジ)が主人公である。変則的な就業形体のせいでプランナーとしてはなかなか大成できないが、その体質を活かしてときどき<トラップ>の代表のバンさんから監視の仕事を請け負ったりしている。この物語は、この監視の仕事からはじまってしまった出来事にまつわるものなのである。
メイジの如何にも善人であっさりしたキャラクターは、思わず見守ってあげたくなるし、ナタネさんや安藤や麻衣子ちゃんやリロー、そのほかの登場人物の誰もがとてもいい。みんながそれぞれに恰好よくて、愛おしくなる人たちばかりである。そして物語は、はらはらどきどきさせられるのだが、なぜかそうひどいことにはならなそうな安心感がある。ナタネさんの存在ゆえだろう。安心して危険な冒険を愉しめるなんて、この上ない贅沢である。そしてそもそものはじまりのことを知ったときには、メイジでなくともじんとして涙がにじむのである。あたたかいものがこみあげてくる一冊だった。


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じゅずじの旦那
50代オヤジの独言

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僕は長い昼と長い夜を過ごす 小路幸也著。

≪★★★☆≫ 50時間起き続け20時間眠り続ける青年、森田明二。子どもの頃、父親の暴力に怯えながら過ごした三人兄妹。母親は失踪し、翌年、父親は強盗に殺された。 父親の会社の人たちが、親身になって三人を育ててくれた。 大人になった明二は、特殊な睡眠障害を利用…

  • From: じゃじゃままブックレビュー |
  • 2010/10/22(金) 12:22:22

【僕は長い昼と長い夜を過ごす】 小路幸也 著

母さんを、父を、殺したのは。  まずは来訪記念にどうかひとつ!  人気blogランキング【あらすじ】50時間起きて20時間眠る特殊体質のメイジ。草食系でのんびりした性格に反し、15年前、父親を殺されたというハードな過去の持ち主。現在はゲームプランナーをしつ...

  • From: じゅずじの旦那 |
  • 2010/12/06(月) 19:09:42

僕は長い昼と長い夜を過ごす:小路幸也

こんなにホッコリするミステリーは初めてだ。しっかりとミステリーとしての筋立てはあるし、ゲーム制作会社の内実や、弁護士という仕事、警察官という仕事、鉄工所の仕事、看護師の仕事など、キッチリとした書き方がしてあり、ネタバレになるけど、アイスキャンデーの小道...

  • From: 50代オヤジの独言 |
  • 2011/02/25(金) 21:43:50

この記事に対するコメント

そうそう、安心して楽しめましたね。
物騒な事件なのに、どれもこれも温かいんですよね。登場人物たちが、みんな。
小路さんのこういう作品っていいですよね。

  • 投稿者: じゃじゃまま
  • 2010/10/22(金) 12:24:24
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小路作品には基本的に悪人は出てこないけれど
これも安心して愉しめました。
やはり読後感があたたかいのがいいですね。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2010/10/22(金) 14:22:36
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