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デパートへ行こう!*真保裕一

  • 2010/08/15(日) 10:18:07

デパートへ行こう! (100周年書き下ろし)デパートへ行こう! (100周年書き下ろし)
(2009/08/26)
真保 裕一

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所持金143円、全てを失った男は、深夜のデパートにうずくまっていた。そこは男にとつて、家族との幸せな記憶がいっぱい詰まった、大切な場所だった。が、その夜、誰もいないはずの店内の暗がりから、次々と人の気配が立ち上がってきて―。一条の光を求めてデパートに集まった人々が、一夜の騒動を巻き起こす。名作『ホワイトアウト』を超える、緊張感あふれる大展開。


この著者にして珍しくのどかな物語?とタイトルからは想像したのだが、のどかどころか物騒で騒々しいこと甚だしい物語だった。閉店後の夜の老舗デパートに、不穏な動機を持った複数の人間がそれぞれの思惑を抱いて潜み、そこに若社長追い落としの陰謀やほかのデパートとの買収合戦も絡んで、警備員や社長当人までをも巻き込んだドタバタ活劇の様相をも見せる。かつて夢の国だったデパートという場所に対するそれぞれの思い入れが切なくも熱い。そして、初めはばらばらだった侵入者たちがポツリポツリと暗闇のなかで出会いはじめ、少しずつ心が繋がっていくのもなかなか面白い。性別も年代も動機もさまざまだが、デパートの持つ場の力で繋がっているように思われる一冊だった。




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じゃじゃままブックレビュー

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デパートへ行こう! 真保裕一著。

≪★★☆≫ 深夜のデパートに、訳ありの人間ばかりが集まった。 贈収賄事件に合併問題と揺れているデパートを舞台に、これでもかこれでもかと様々な人間が、ある者は目的を持って、ある者は逃げ込んで、ドタバタと走り回る。 仕事にも家族にも見捨てられた自殺願望の男、…

  • From: じゃじゃままブックレビュー |
  • 2010/08/16(月) 18:36:50

この記事に対するコメント

私は喜劇を一瞬想像しちゃったんですけど、そう、あの真保さんが違うか、と思い直しました。
なんだかいろんなことが起こりすぎて、若干ごちゃごちゃした感じはしますけど、あの若者二人と、ベテラン警備員さんの話はよかったです。

  • 投稿者: じゃじゃまま
  • 2010/08/16(月) 18:40:34
  • [編集]

若いふたりの関係は、捻りも含みもあってよかったですね。
ベテラン警備員さんもカッコよかったです。プロですね。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2010/08/16(月) 20:31:23
  • [編集]

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