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マドンナ・ヴェルデ*海堂尊

  • 2010/09/13(月) 16:42:55

マドンナ・ヴェルデマドンナ・ヴェルデ
(2010/03)
海堂 尊

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「ママは余計なこと考えないで、無事に赤ちゃんを産んでくれればいいの」平凡な主婦みどりは、一人娘で産科医の曾根崎理恵から驚くべき話を告げられる。子宮を失う理恵のため、代理母として子どもを宿してほしいというのだ。五十歳代後半、三十三年ぶりの妊娠。お腹にいるのは、実の孫。奇妙な状況を受け入れたみどりの胸に、やがて疑念が芽生えはじめる。「今の社会のルールでは代理母が本当の母親で、それはこのあたし」。


『ジーン・ワルツ』のパラレルワールドである。前作は生物学的な母・理恵の目線で書かれたものであり、今作は母体であり法律上の母であり理恵の母でもあるみどりの目線で描かれている。
多方面から眺めることによって、理恵が目指し実際に実現させたことの理論上の重大さと感情面での奥深さがより一層わかりやすくなった。だが、これが最善だったのかどうかは、それぞれ生物学上の母と父――この段階では父の委託を受けたみどりである――の元で育つ双子のその後をみきわめなければ判断はできない。薫のその後は、『医学の卵』でも知ることができるので、悲観的な結末にはならない気はするが。
著者は、桜ノ宮市で起こる医療関係の出来事を別作品として多角的に描いているが、一作目を書きはじめるときにすでに世界は出来上がっていたのではないかと思わされる。

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