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いま、会いにゆきます*市川拓司

  • 2004/07/06(火) 12:44:16

☆☆☆☆・


 好きな人を思うとき、必ずその思いには
 別離の予感が寄り添っている。――もし、そうだとしても

 書かれているのは、ただ「愛している」ということ。
 思い切り涙を流してください。

                    (帯より)


15才の中学生の頃から半径1メートルの圏内にいた二人が 少しずつ近づいて結婚し愛すべき息子をなし しあわせに暮らせると思った頃 妻は病に命を落とす。
「一年後の雨の季節にあなたたちの様子を見るために戻ってくる」というひと言を残して。

切なく 悲しく 狂おしく愛しい物語である。
彼らが歩いているのは たまらなくでこぼこで茨だらけの道のように見えるのだが、この物語は最初から最後まで淡いパステルカラーの水彩画のように描かれている。
誰もがみな少しずつあるいはたくさんの不幸を背負っているのに 誰もがみなしあわせに描かれていて そういう風に描かれるうちにしあわせであろうとしているようで胸がつまるのだ。
こんなに切なく哀しいしあわせの形なんてあっていいのだろうか。

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