出口のない部屋*岸田るり子

  • 2010/09/15(水) 13:24:09

出口のない部屋 (ミステリ・フロンティア)出口のない部屋 (ミステリ・フロンティア)
(2006/04/22)
岸田 るり子

商品詳細を見る

私に差し出されたのは「出口のない部屋」という題名の原稿。「読ませていただいてよろしいですか?」彼女はロボットのように無表情のまま頷いた。それは、一つの部屋に閉じ込められた二人の女と一人の男の物語だった。なぜ、見ず知らずの三人は、この部屋に一緒に閉じ込められたのか?免疫学専門の大学講師、開業医の妻、そして売れっ子作家。いったいこの三人の接点はなんなのか?三人とも気がつくと赤い扉の前にいて、その扉に誘われるようにしてこの部屋に入ったのだった。そして閉じ込められた。『密室の鎮魂歌』で第14回鮎川哲也賞受賞の岸田るり子が鮮やかな手法で贈る、受賞第一作。


『出口のない部屋』という同名の小説が差し挟まれ、読者を現実と虚構のすきまに陥れるような物語である。小説の登場人物であるひとりの男とふたりの女の話と、現実と思われる出来事とを行き来しながら、読者は入れ子構造のような不可思議な恐怖の謎を解いていくことになる。出口のない部屋に閉じ込められた三人の共通点はなんなのか、そしてなにより彼らをここに導いた人物とは、またその理由とはなんなのだろうという怖いもの見たさが先にたち、もどかしくなる。だが、真実を知ったとき、そのあまりに自分本位の理由付けに身震いし、視野の狭さに愕然とさせられるのである。

この記事に対するトラックバック

この記事のトラックバックURL

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

この記事に対するコメント

この記事にコメントする

管理者にだけ表示を許可する