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七人の敵がいる*加納朋子

  • 2010/10/06(水) 16:48:41

七人の敵がいる七人の敵がいる
(2010/06/25)
加納 朋子

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ワーキングマザーのPTA奮闘小説

育児と仕事を何とか両立してきた、ワーキングマザーの陽子。息子の小学校入学で少しはラクになるかと思いきや、PTA・学童父母会・地域子供会などに悲鳴を上げる、想像以上に大変な日々が幕を開けた……。
●入学早々、初の保護者会はPTA役員決めの修羅場に。空気を読めない陽子は、早速敵を作ってしまう。ああ、永遠に埋まらぬ専業主婦と兼業主婦の溝…「女は女の敵である」
●仕事と子育ての両立に不可欠な、義母のサポート。“孫のためなら”の影に押しやられた本音は不満だらけ!?「義母義家族は敵である」
●夫は結局、家事も育児も“他人事”。保護者会も母親の姿ばかり。働く母親にできて働く父親にできないことなんて、ないはずなのに…「当然夫も敵である」
その他、わが子や先生、さらにはPTA会長に戦いを挑む!?笑いあり、涙あり、前代未聞の痛快ノンストップ・エンターテインメント!


女、義母義家族、男、夫、我が子、先生、PTA会長という七人の敵に立ち向かうやり手編集者・陽子の奮闘記である。痛快でありながらも、ほろりとさせられたり、あきれたり、憤ったり、落ち込んだり、さまざまな感情を味わうことができる一冊でもある。お気楽専業主婦の自分としては、保護者会で陽子さんのような女性を目の前にしたら怯み、俯いて目を合わせないようにしてしまいそうだが、役員の経験がないわけでもないので、両方の状況や気持ちが判って興味深い。役員を引き受けている人にも逃げている人にもそれぞれに事情があり、各人の事情を慮っていては役員決めなどできないという理不尽さに深くうなずき、声をあげてしまう陽子さんの不器用さに思わず苦笑しつつも尊敬の念を抱きもするのである。息子の陽介(ここにもある事情があるのだが)を思う気持ちと正義との板ばさみになって悩む様は、陽介をどれだけ愛しているかが見て取れて微笑ましい。これからも、少々の駆け引きを身につけながら、ぜひブルドーザーの陽子さんで突き進んでいって欲しいものである。

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