感応連鎖*朝倉かすみ

  • 2010/10/30(土) 21:25:31

感応連鎖感応連鎖
(2010/02/20)
朝倉 かすみ

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女たちの内側で、何かが蠢く。

肥満を異形とする節子か、他人の心が読める絵理香か、自意識に悩む由希子か。
交錯する視点、ぶつかり合う思惑。
真実を語っているのは誰?──魅惑の長編小説


夢の少女という母の理想を吸収するように対極を成す巨漢に育ち、それを異形と思わせようと腐心する墨川節子。幼いころに受けたセクハラ紛いの行為によって強迫観念的に負のシミュレーションを重ねていく数学教師の妻・秋澤初美。少しばかり綺麗な元モデル似で、幼いころから人の負の感情を言葉にしてしまうという特性を持つ佐藤絵里香。節子と絵里香のクラスメイトで節子の母の理想とする夢の少女を具現化したような新村由季子(旧姓島田)。出会った瞬間から外側からではわからない部分で感応し合う三人の少女は、それぞれのやり方で自分の感情をコントロールし、そ知らぬ顔で影響を与え合っているように見える。容姿に特徴があるこの三人なので、ものすごく特別なことのようにも見えてしまうが、この年頃の少女が集まれば多かれ少なかれ起こることだとも思われる。からっぽならからっぽなりに、不安定なら不安定なりに、自意識過剰なら自意識過剰なりに自分自身の輪郭を侵されないように防御態勢を固めつつも、少しずつ互いの毒に染まり合って自己というものを作り上げていくのだろう。三人の少女を冷静にみつめる温度のない目が常に意識されるような一冊でもある。

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