悪貨*島田雅彦

  • 2010/11/13(土) 16:52:10

悪貨 (100周年書き下ろし)悪貨 (100周年書き下ろし)
(2010/06/23)
島田 雅彦

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ある日、ホームレスが大金を拾う。だが、その金は偽札だった!捜査にあたった日笠警部が事件解決のために招喚したのが、偽札捜査のスペシャリスト・フクロウ。
一方、「美人すぎる刑事」エリカは、国際的金融犯罪を取り締まるため、マネー・ロンダリングの拠点となる宝石商・通称「銭洗い弁天」に潜入捜査をすることになった。そこで捜査線上に浮かび上がってきたのが、グローバルな資本主義を超える社会を目指す共同体「彼岸コミューン」で育ち、今や巨額の資金を操る野々宮という男だった。
最後に勝利するのは、金か、理想か、正義か、悪か?ハイスピードで展開する「愛とお金の物語」


昨今の国際情勢を考えると、あり得ないと断言できない物語であり、背筋が寒くなる心地さえする。
理想の社会の実現に向かう真摯な魂と、私利私欲にまみれた穢れた心根が奇しくも同じ土俵に立たされ、何も知らないその他多勢が押し寄せる波をもろに被る。偽札を使って現行の経済社会を覆そうという発想にとりつかれた段階で結末は目に見えている気もするが、緊張感と物語の行き先への期待で先へ先へとページを捲る手を止めさせない。
「彼岸コミューン」のような理想郷は小規模のうちは志が同じ方を向いていたとしても、大所帯になればなるほど理想の実現をむずかしくするのだろうとも思われるが、この結末の先にどうなっていくのか少し気になる。

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島田センセイが「オレだってこんなの書けるんだぜ」っていっているようで少し不自然な感じはしましたが、作品の完成度はさすがに高い。テーマの扱い方から物語の展開・テンポまで、「読む側」をよく意識しリサーチして、コントロールしている感まであります。

  • 投稿者: チョロ
  • 2010/11/17(水) 07:02:48
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島田作品はあまり読んでいないので、不自然さは感じずに愉しみました。
コントロールされていたとしても、こんな風にならうれしいですね。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2010/11/17(水) 10:36:21
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