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つばさものがたり*雫井脩介

  • 2010/11/19(金) 19:48:58

つばさものがたりつばさものがたり
(2010/07/29)
雫井 脩介

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もっと我慢せず、自分のために生きればいい。

君川小麦は、26歳のパティシエール。東京での修行を終え、ケーキショップを開くため故郷の北伊豆に帰ってきた。小麦の兄・代二郎と義理の姉・道恵の間には、叶夢(かなむ)という6歳の息子がいる。叶夢には、レイモンドという天使の友達がいるらしい。ケーキショップ開店のため小麦が見つけた店舗物件に対し、叶夢は「ここ、はやらないよ」「レイモンドがそう言ってる」と口にし、小麦、代二郎夫妻を戸惑わせる。しかし、結果は叶夢の言うとおりに…。さらに、帰京した小麦には家族にも明かせない秘密があった。君川家の人々は様々な困難を乗り越えながら、ケーキショップの再起を目指す。


和菓子(『和菓子のアン』)の次はなんと洋菓子だった。なんてしあわせな、と思ったのも束の間、物語の主役君川小麦は26歳にして乳がんに侵され、手術はしたが再発ししかも転移までしているのだった。病気と闘いながら亡き父の残した夢である、ケーキ屋を開くことを自らの夢とし、家族の助けを得てそれを実現させるのだが、並大抵ではない苦労の数々に胸が痛む。だが、兄の息子で天使と妖精のハーフの友だちがいる叶夢(かなむ)の存在が、物語に辛く苦しいだけではないやすらぎと光を与えていて、厳しい現実の中でひととき心を和ませてくれる。ハッピーエンドとは言えないラストだが、読後感はしあわせと輝きに満ちている。透き通ってキラキラとした一冊である。




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じゃじゃままブックレビュー

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つばさものがたり 雫井脩介著。

≪★★★≫ パティシエールになるため東京で修行した君川小麦。病気になり、病を隠して故郷の伊豆で父の夢でもあったケーキ屋を開く。 その背中を母が押し、兄夫婦が支え、甥である叶夢が元気付ける。 叶夢には天使が見える。レイという天使が一人前の天使になる応援をす…

  • From: じゃじゃままブックレビュー |
  • 2011/06/27(月) 12:42:24

この記事に対するコメント

天使の力で病気治っちゃう?なんて思ったんですけど、そこまでファンタジーじゃなかったですね。
でもそんな物語だからこそ、逆に生きる勇気っていうんでしょうか、読後感与えられた気がします。

  • 投稿者: じゃじゃまま
  • 2011/06/27(月) 12:44:33
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現実を現実としてしっかり捉えながらも
希望を失わずにいることの大切さをわからせてくれる物語でしたね。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2011/06/27(月) 13:07:33
  • [編集]

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