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伏*桜庭一樹

  • 2010/12/14(火) 14:30:06

伏 贋作・里見八犬伝伏 贋作・里見八犬伝
(2010/11/26)
桜庭 一樹

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娘で猟師の浜路は江戸に跋扈する人と犬の子孫「伏」を狩りに兄の元へやってきた。里見の家に端を発した長きに亘る因果の輪が今開く。


山で猟師として暮らしていた少女・浜路は、ふたり暮らしの祖父亡きあと江戸に暮らす兄・道節を頼って上京した。物語は、兄妹の伏狩者としての顛末に、滝沢冥土作の「贋作・里見八犬伝」と伏である信乃の語り「伏の森」が挟みこまれている。
伏とは、その昔伏姫と犬の八房との間に生まれた八匹を祖とする犬人間たちのことである。浜路の猟師魂が獣の臭いを嗅ぎ当て、本能のように伏を狩ることになるのであるが、そこに滝沢馬琴の息子の冥土の読売のための取材(いまで言えばレポーターか)がからみ、どんどんややこしいことになっていくのである。はるか昔、辻村ジュサブロー氏のからくり人形で作られたテレビドラマで観た「新八犬伝」が頭の中に蘇えってきて不思議な心地で読み進んだ。ページを捲る手を止めさせず、のめりこむように読み終えた一冊である。

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