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エルニーニョ*中島京子

  • 2010/12/29(水) 07:16:16

エルニーニョ (100周年書き下ろし)エルニーニョ (100周年書き下ろし)
(2010/12/10)
中島 京子

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女子大生・瑛は、恋人から逃れて、南の町のホテルにたどり着いた。そこで、ホテルの部屋の電話機に残されたメッセージを聞く。「とても簡単なのですぐわかります。市電に乗って湖前で降ります。とてもいいところです。ボート乗り場に十時でいいですか?待ってます」そして、瑛とニノは出会った。ニノもまた、何者かから逃げているらしい。追っ手から追いつめられ、離ればなれになってしまう二人。直木賞受賞第一作。21歳の女子大生・瑛と7歳の少年・ニノ、逃げたくて、会いたい二人の約束の物語。


小森瑛(こもり てる)は東京の大学生で、かつて高校の英語教師だったニシムラと同棲したが、彼は実はDV男なのだった。ある日偶然出会った路上アコーディオン弾きの女性の「もしいますぐそこを離れたいなら、迷わずすぐに離れることよ」という言葉に背中を押され、ニシムラから逃げ出して南へと向かった瑛。見知らぬ南の町のホテルの電話に残されていた不思議なメッセージに導かれるようにして行った湖で七歳の少年・ニノに出会う。逃げている二人はいつしか互いの手を取り合い、なくてはならないものになるのだったが――。
舞台は日本の南の町や島である。そして、瑛とニノがそれぞれに抱える事情は泥沼でやりきれないものである。にもかかわらず、物語全体に流れるのはなぜかぴんと張り詰めた澄明な空気と異国の匂いなのである。二人の出会いの不思議さがそう感じさせるのかもしれない。また、見かけは大人の瑛と子どものニノであるが、互いに守り守られ、ときにそれが逆転するようにも感じられ、二人にとっての互いのなくてはならなさが伝わってくる。とても苦しいが、とても清々しい話でもある。そんな一冊。

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