KAGEROU*齋藤智裕

  • 2011/01/13(木) 07:18:49

KAGEROUKAGEROU
(2010/12/15)
齋藤 智裕

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第5回ポプラ社小説大賞受賞作。『KAGEROU』―儚く不確かなもの。廃墟と化したデパートの屋上遊園地のフェンス。「かげろう」のような己の人生を閉じようとする、絶望を抱えた男。そこに突如現れた不気味に冷笑する黒服の男。命の十字路で二人は、ある契約を交わす。肉体と魂を分かつものとは何か?人を人たらしめているものは何か?深い苦悩を抱え、主人公は終末の場所へと向かう。そこで、彼は一つの儚き「命」と出逢い、かつて抱いたことのない愛することの切なさを知る。水嶋ヒロの処女作、哀切かつ峻烈な「命」の物語。


あまりにも巷で酷評されているのでどんなものかと思ったが、物語自体は個人的には嫌いではない。ことに導入部はこれからなにが起こるのだろうかと興味を引かれる。ただ、フェンスを乗り越えるところまで死を決意したヤスオのキョウヤと出会ってからのありように深みが感じられなかったのが残念。物事の表面を浅く切り取った感じは否めない。本の作りにちょっとした仕掛けがあるのだが、これは必要だろうか。注意を引かれたことは確かだが。着眼はよかったと思うし、まあ面白かったと思うが、著者にとっては一作目から大賞を受賞しない方がよかったのかもしれないなぁ、とも思った一冊である。

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