地のはてから 下*乃南アサ

  • 2011/02/01(火) 17:16:01

地のはてから(下) (100周年書き下ろし)地のはてから(下) (100周年書き下ろし)
(2010/11/16)
乃南 アサ

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小樽での奉公を終え、知床に帰った少女は、かつて家族を救ってくれたアイヌの青年と再会する。一度きりのかなわぬ恋。そのとき少女ははじめて思う。人は自分の人生を、どこまで選び、決められるのか、と。厳しく美しい知床の自然に翻弄されながら、ひたすら大正から昭和の時代を生き抜く。感動の最終章。


戦争の気配が濃くなるとともに小樽の奉公先にも影が差しはじめ、とわは暇を出されて家族の元へ帰る。小樽の現代的な暮らしに比べ、知床の暮らしはなにひとつ変わらぬ不便さだらけだった。戦争はいよいよこの辺境の地からも男たちを奪いはじめ、とわは知人に勧められるままに見も知らぬ男の元へ嫁いだのだった。だがそれで苦労がなくなったわけではなかった。理不尽なものを感じながらも国の言いなりに戦争の波に呑みこまれ、さまざまな苦労をすることになり、母が昔言った「お国の言うことをそのまま信じると馬鹿を見る」という言葉を実感するのだった。昭和の前半の物語だが、なんだか現代の国政のことを言っているようでもあり、いつの世も国というものは身勝手なものなのか、とため息が出る。とわ一家や開拓移民たちの苦労は報われたといえるのだろうか。個々の苦労やがんばりは胸に沁み、感動的で、とわや周りの人たちにはぜひしあわせになって欲しいと願うのだが、国に騙されたという思いは拭えず、やるせなさでいっぱいになる。国を動かす人たちにもぜひ読んでいただきたい一冊である。




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じゃじゃままブックレビュー

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地のはてから 乃南アサ著。

≪★★★☆≫ 夫に服従しなければならなかった時代。耐えながらも過酷な時代を生き抜いた女性の物語。 夫の夢物語に振り回され、挙句、幼い直一ととわを抱え北海道開拓団の一員として、故郷を夜逃げ同然で捨てたつね、作四郎夫婦。 想像以上に自然の厳しい北海道で、開拓…

  • From: じゃじゃままブックレビュー |
  • 2011/10/26(水) 11:16:03

この記事に対するコメント

ろくでもない奴でも男であれば威張り散らせる時代ですね~。
そんな夫についてきて苦労させられた母親、それを眼に焼き付けてた我慢強い娘とわ。
こういう強さ、逞しさ、見習わなくちゃな~って。三吉のその後はがっかりでしたね。

  • 投稿者: じゃじゃまま
  • 2011/10/26(水) 11:19:29
  • [編集]

見習いたいと思う反面、現在が、へなちょこでも何とか生きていられる時代でよかった、と思いました。

三吉、もっと望みのある展開になるのかと途中は期待したのだけれど…。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2011/10/26(水) 14:05:55
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