妃は船を沈める*有栖川有栖

  • 2011/02/20(日) 17:39:27

妃は船を沈める妃は船を沈める
(2008/07/18)
有栖川 有栖

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所有者の願い事を3つだけ、かなえてくれる「猿の手」。“妃”と綽名される女と、彼女のまわりに集う男たち。危うく震える不穏な揺り篭に抱かれて、彼らの船はどこへ向かうのだろう。―何を願って眠るのだろう。臨床犯罪学者・火村英生が挑む、倫理と論理が奇妙にねじれた難事件。


 はしがき
 第一部 猿の手
     幕間
 第二部 残酷な揺り籠


三つの願い事を叶えてくれる代わりによくないことをも引き寄せる、と言われる猿の手にまつわる殺人事件と、地震という大きな揺り籠に思惑を狂わされることになる殺人事件。ふたつの事件はどちらも妃こと三松(設楽)妃沙子の身近で起きたものなのだった。犯罪心理学者・火村英生と助手兼語り手の有栖川有栖のコンビがどちらの事件にも借り出され、ああでもないこうでもないとろくでもない思いつきを言うアリスを置いて、火村先生の推理と謎解きが冴えるのである。物語の中でもすっかり有名になったこのコンビであるが、アリスの判りやすさに比べ、樋村先生の真実がなかなか見えてこないのがもどかしくもある。彼を犯罪現場に駆り立てるのはいったい何なのだろう。それが明かされるのはシリーズが終わるときのようにも思うので、知りたいようなまだ知らなくていいような、複雑な気持ちである。今回の事件では、真相をまず誰に話そうか悩んだ火村先生がいつもに似合わず揺れていたのも気になるところである。妖しく不思議な設定だがいつもながらに見事な一冊である。

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