小暮写眞館*宮部みゆき

  • 2011/03/01(火) 13:36:08

小暮写眞館 (100周年書き下ろし)小暮写眞館 (100周年書き下ろし)
(2010/05/14)
宮部 みゆき

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物語のすべてが詰まった700ページの宝箱著者3年ぶり現代エンターテインメント長編。


第一話 小暮写眞館  第二話 世界の縁側  第三話 カモメの名前  第四話 鉄路の春

700ページを超える大作である。だが、厚さを感じさせない面白さでぐいぐい読ませる、ミステリ要素のあるファンタジーとでもいうような物語である。
舞台は、亡くなった小暮さんがやっていた写眞館を買い取ってそのまま住んでいる花菱家。そして、語り手である花菱家の長男・英一が通う都立三雲高校や花菱家に小暮写眞館を売った不動産屋やその周辺である。鍵になるのは幽霊、そして心霊写真。並べると妖しげな物語のようだが、物語自体にはまやかしも妖しさも怪しさも微塵もなく、高校生が主体となって行動する微笑ましくもあるものである。登場人物がそれぞれ個性的だが、誰もがみないい味を出していて生きて動いている姿が容易く想像できるのがいい。みんなが心やさしく責任感と思いやりを持っていて、それゆえに行き違ったりもするのだが、そのときの切なさもたまらない。ぽっかり雲が浮かぶ大空を心行くまで眺めながら、いまごろみんなどうしているだろうとときどき思い出したくなるような一冊である。

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