生還--・山岳捜査官・釜谷亮二*大倉崇裕

  • 2011/03/12(土) 10:48:39

生還 山岳捜査官・釜谷亮二生還 山岳捜査官・釜谷亮二
(2008/08/29)
大倉 崇裕

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山岳捜査官とは、いわば「山の鑑識係」である。遭難救助隊が不審な点のある遺体を山で発見したときに登場し、残された微細な証拠や聞き込みから、その死の真実を突き止める。四月中旬、北アルプス黒門岳で見つかった女性の遺体。彼女は、右手に握りしめた折りたたみナイフで、黄色のダウンジャケットを雪面に刺し貫いた状態で死んでいた。彼女の死の真相、そしてダウンジャケットのもつ意味とは―。(第一話「生還」)『山と溪谷』連載時から話題を呼んだ山岳短編小説に、書き下ろし一編を加え、全四話を収録した傑作集。


第一話 生還  第二話 誤解  第三話 捜索  第四話 英雄

山岳捜査官という職業を初めて知ったが、大変な仕事である。登山技術はもちろんのこと、ただでさえ悪条件である場合が多い山の事故現場へいち早く入り、過酷な条件下で捜索しなければならないので、体力や精神力も相当鍛えられていることが要求される。ベテラン捜査官・釜谷の捜査の様子を、新人の原田の目線で見つめる連作である。釜谷の捜査にかける真摯さと、いささかの違和感も見逃さない生真面目さが、真実を白日の下にさらす様子が興味深い。最後の物語だけは趣が他とは違い、ざらざらとした嫌な後味が残るが、却って現実感を感じられもする。鬼気迫る一冊である。

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