タソガレ*沢村稟

  • 2011/03/13(日) 16:54:29

タソガレタソガレ
(2010/11/25)
沢村 凛

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パリ旅行中に明かされた里美の“特別な感覚”とは!?彼女の無意識の所作が呼ぶストーカーと誘拐殺人の行方は!?何でも屋の祐児の愛は障碍だらけ。大胆な展開を支える繊細な文章!注目の女性作家が『あやまち』『カタブツ』『さざなみ』に続いて贈る好評4文字シリーズ最新刊は、恋人たちの危機を救うハートウォーミングな物語。


ある日彼女の部屋で/恩知らずな彼女/憶測の彼方に/チャンスの後ろ髪/テストの顛末/別の日、彼女の部屋で

人の顔を憶えることのできない「相貌失認」という病気があることを本作で初めて知った。生まれつき相貌失認の主人公・里美の健気な処し方を知り、普段何気なく接している人の中にももしかすると苦しんでいる人がいるかもしれない、と思わせられた。病気そのものももちろんだが、人に解ってもらえないということがなにより辛いだろうと察せられる。里美には解ってくれる十年来の親友がおり、もうひとりの主人公である恋人・祐児にも、冒頭の行き違いのあとは理解してもらえたのが苦しい中でも救いである。そんな相貌失認ゆえに身の回りに起こる事件を、祐児が解決していくようなゆるい縛りのミステリになっている。謎を解きながら、相貌失認について読者も少しずつ理解を深めていくようになるのである。祐児の親身さがあたたかく、少しずつ里美が甘えられるようになるのがうれしくもある。胸の中がしみじみあたたかくなる一冊だった。

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