崩れる--結婚にまつわる八つの風景*貫井徳郎

  • 2011/05/02(月) 19:00:05

崩れる 結婚にまつわる八つの風景 (角川文庫)崩れる 結婚にまつわる八つの風景 (角川文庫)
(2011/03/25)
貫井 徳郎

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仕事もしない無責任な夫と身勝手な息子にストレスを抱えていた芳恵。ついに我慢の限界に達し、取った行動は…(「崩れる」)。30代独身を貫いていた翻訳家の聖美。ある日高校の同級生だった真砂子から結婚報告の電話があり、お祝いの食事会に招待されるが…(「憑かれる」)。家族崩壊、ストーカー、DV、公園デビューなど、現代の社会問題を「結婚」というテーマで描き出す、狂気と企みに満ちた8つの傑作ミステリ短編集。


表題作のほか、「怯える」 「憑かれる」 「追われる」 「壊れる」 「誘われる」 「腐れる」 「見られる」

結婚にまつわる物語なのだが、明るくもなくしあわわせいっぱいでもなく、薄い影が差していてどの話もじんわりと怖い。そして、出てくる女性がみな立体的なのでびっくりする。ページからふと目をあげると、斜め後ろに実際にいそうである。荻原浩氏も実はおばさんではないかと思わせるほど中年女性を描いて見事だが、著者は荻原氏とはテイストは違うが、若い女性を見事に描いていて唸らせられる。八つの物語はどれも絶妙に捻じれたりはぐらかされたり裏切られたりして、ラストまで目が離せない。贅沢な一冊である。

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この記事に対するコメント

いやあ素晴らしい短編集でしたね
小説に自分の本性を見抜かれたような
気味の悪さがしばらく続きました
長編はある程度誤魔化しもききますが
短編でこれだけ高いレヴェルをそろえられる実力に
相変わらず敬服します

  • 投稿者: チョロ
  • 2011/05/04(水) 06:41:20
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自註でも触れられていましたけれど
短編はお得意ではないということ。
それでこれほど惹きつけられる作品を生み出される貫井さんに大拍手です。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2011/05/04(水) 07:22:29
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