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さよならのためだけに*我孫子武丸

  • 2011/05/18(水) 20:13:24

さよならのためだけにさよならのためだけに
(2010/03/18)
我孫子 武丸

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ハネムーンから戻るなり、水元と月は“さよなら”を決めた。二人はまったくそりが合わなかったから。けれど…少子晩婚化に悩む先進諸国はグローバル国策会社、結婚仲介業のPM社を創りだしていた。その独創的相性判定で男女は結ばれ、結婚を維持しなければならない。しかもこの二人、判定は特Aで夫ときたらPM社員。強大な敵が繰りだす妨害に対し、ついに“別れるための共闘”が始まった。


水元と月(ルナ)それぞれの視点で語られる離婚に向けた闘いの物語。なのだが、実にさまざまな要素を含んでいて興味深い。たとえば少子晩婚化、たとえば個人情報、またたとえば遺伝子ビジネス、などなど…。男女の出会いとは、恋愛とは、結婚とは、といういつの時代にもただひとつの正解などない問題を、近未来という舞台設定で取り上げて答えを出そうとするが(PM社)やはり答えなど出るはずもない、人間にとっての永遠の命題なのだと思わされるのである。水元と月のお互いに対する印象や感情の推移も期待どおりでうれしくなるし、最後の決断も潔いもので好感が持てる。これからの二人がどうなっていくかは未知数だが、PM社の得A判定はまったく間違っていなかったと思えるラストである。それなら本作丸ごと何の意味もなかったようだが、タイトルのとおりさよならのためだけに共闘した二人だからこそ得たものが大きいのだろう。はらはらどきどき面白い一冊だった。

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