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民宿雪国*樋口毅宏

  • 2011/05/21(土) 16:55:20

民宿雪国民宿雪国
(2010/12/01)
樋口毅宏

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梁石日氏絶賛!「なみなみならぬ筆力に感服した。人間の底知れぬ業を描き切る」  2012年8月、国民的画家・丹生雄武郎氏が亡くなった。享年97歳。  80年代のバブル時に突如衆目を集め、華やかな時代を背景に一躍美術界の新星として脚光を浴びる。しかし、各方面からの称賛の声をよそに、けして表舞台には出ようとせず、新潟県T町にて日本海を見下ろす寂れた「民宿雪国」を経営、亡くなるまで創作に没頭した。「芸術はなんというなれの果てまで私を連れてきたのだろう……」 大正4年生まれ、使用人との間に生まれ、病弱で不遇な少年時代を過ごし、第二次大戦ではニューギニアに応召、敗戦後はシベリアに抑留される。復員すると愛妻は疎開先で亡くなっており、彼は終生「遺された者の不幸」と「戦争で死ねなかった負い目」に苛まれたと推測される。 しかし一方で、丹生氏の過去にはいささか不明瞭な部分もあった。 かつて「民宿雪国」に宿泊、丹生氏によって人生を左右されたと明言するジャーナリスト・矢島博美氏がその死後に丹生氏の過去を掘り下げたところ、以外な事実が明るみに出たのだった。 彼はなぜその経歴を詐称したのか。 やがて彼の破天荒な生涯が、かくされた昭和史を炙り出したのだった――。 あらゆるジャンルを越境する文芸界の最終兵器・樋口毅宏が贈る、本年度最高のエンタテインメント・ピカレスク・ロマン!


まるでドキュメンタリーを読んでいるようにさまざまな場面を思い浮かべることができる一冊である。と同時に、幾度も幾度も表と裏が反転し、どちらが裏でどちらが表か判別がつかなくなる心地にさせられもする。読み終えてもまだまだ真の素顔はどこか別のところに押し込められているのではないかと疑いさえしてしまう。絶妙に織り込まれた昭和史や世間を騒がせた人々でさえ著者の手にかかると丹生雄武郎の人生の一部になってしまうようで舌を巻く。途轍もないものを読んだという後味の一冊である。

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