猫と妻と暮らす―蘆野原偲郷―*小路幸也

  • 2011/07/06(水) 19:04:01

猫と妻と暮らす 蘆野原偲郷猫と妻と暮らす 蘆野原偲郷
(2011/06/16)
小路幸也

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大学で研究する和弥は、恩師の娘を嫁に貰った。ある日、帰宅すると妻が猫になっていた。実は和弥は、古き時代から妖(あやかし)に立ち向かう蘆野原(あしのはら)一族の若き長。幼馴染みで悪友の泉水と、猫になった娘とともに、文明開化の世に出没する数々の災厄を防いでいく。陰陽師や祓師のような力を持つ主人公と悪友との軽妙なやりとり、猫になったときの記憶がない美しい妻との叙情的な日常を、丹念な筆致で描く幻想小説。


タイトルからはもっとのんびりほのぼのとした物語のように想像していたが、いやいや実に奥の深い物語だった。蘆野原の長筋である和弥と、幼馴染で見立て役の美津濃泉水とで妖に立ち向かう物語なのでおどろおどろしくもあるのだが、肝心の長筋の和弥には妖が観えず、それでも的確に事を為す、「観えずに為す」という姿勢が読者の緊張をすっといなして日常から遊離せずに物語を見せてくれるような気がするのである。そして和弥の妻・優美子である。彼女の果たす役割はとても大きいが、本人には果たして自覚があるのだろうか。どちらにせよ、素敵な女性である。なにやら大きな流れにのっているような厳かな心持になる一冊である。




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猫と妻と暮らす 蘆野原偲郷 小路幸也著。

≪★★★≫ 古から人々に災いをもたらす厄を祓う能力を持っている蘆野原の人々。≪事≫を為すのは代々蘆野原の長の役目。 長筋である和弥の妻である優美子は、蘆野原を研究していた恩師の娘で、恩師たっての希望で和弥の妻となる。 ある日その妻が猫になっていた。それは…

  • From: じゃじゃままブックレビュー |
  • 2011/09/18(日) 08:07:41

この記事に対するコメント

タイトル見たとき、てっきりエッセイかと勘違いしてしまいました。
いやいや、どうして、ちゃんとした物語でしたね。もっと知りたい、って思わせる立位置で読まされました。私はこの異郷の感じが、恒川さんの小説を思い出したんですけど。それとか勝手に「七瀬ふたたび」を・・・。

  • 投稿者: じゃじゃまま
  • 2011/09/18(日) 08:12:28
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はい。
ちゃんとした、しかも奥の深い物語でした。
恒川光太郎さんは、ホラーが苦手なので一冊も読んだことがないのだけれど
この作品から連想されるということは、それほどおどろおどろしくはないのでしょうか。
「七瀬ふたたび」は、ちょっとわかる気がします。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2011/09/18(日) 11:13:23
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私の中ではホラーのカテゴリに入ってないので、怖くないですよ。
「夜市」と「秋の牢獄」と「雷の季節の終わりに」は、蘆野原のような村が出てきて、それがとっても懐かしくて、好きなんですよね~。機会があったら読んでみてください。

  • 投稿者: じゃじゃまま
  • 2011/09/22(木) 22:46:58
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そうなんですか~。
では、じゃじゃままさんのお言葉を信じて
読みたい本リストに書き加えます。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2011/09/23(金) 06:14:04
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