私のミトンさん*東直子

  • 2011/08/06(土) 07:02:52

私のミトンさん私のミトンさん
(2011/07/12)
東 直子

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身長50センチのミトンさんは、アカネの秘密の同居人。わがままで謎の深いミトンさんと、そこに集うどこまでも優しく独創的な人々を描いたほの甘い長編小説。


ミトンさんありきの物語である。アカネが引っ越した先――ミキヒコ叔父さんの家――の床下に、ミトンさんはいたのである。ひと目見た時からわたしの頭のなかではミトンさんはムーミンのミイである。赤い服といい、その小ささといい。果物好きでわがままで、害を為すわけではないがいいことを運んできてくれるわけでもない。恋人は浮気をして離れていくし、間違って電話してしまった友人のベイビーちゃんは眠ったままだし、ミキヒコ叔父さんとはなかなか電話がつながらない。それでもミトンさんがいるからこその巡り合わせのような毎日のなかで、アカネはだんだんミトンさんに心を移していくのだった。あちこちに散らばっている点と点と点と点を――ときにあっちへこっちへ飛んでいくようでありながら――ひと針ひと針縫い進め、気づいてみたらいびつながらも「〇」になっていた、としみじみ思う読後である。ミトンさんのようなものはだれの心のなかにでもいるのではないかと思える一冊。

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