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夏草のフーガ*ほしおさなえ

  • 2011/09/15(木) 17:19:32

夏草のフーガ夏草のフーガ
(2011/07/07)
ほしおさなえ

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母親とふたりで暮らす夏草は、祖母と同じ私立中学に通うことが憧れだった。願いはかない合格したものの、喜んでくれるはずの祖母は突然倒れ、目を覚ますと、自分を中学一年生だと言い張るようになる。一方、クラス内の事件をきっかけに学校を休みがちになった夏草は、中学生になりきった祖母と過ごす時間が増え、ふと、祖母が以前、口にした「わたしは罪をおかした」という言葉を思い出す。いつもやさしかった祖母の罪とはなんだったのか…?互いのなかに見知らぬ闇を見たあと、家族は再び信じ合えるのか?注目作家の書き下ろし感動長編ミステリー。


おばあちゃんとお母さんと中学一年の女の子・夏草。三世代のつながりが時間軸を超えてあたたかく新鮮である。おばあちゃんもお母さんも、そして夏草にとっても、中学一年は特別な時だったのだ。おばあちゃんの心が中学一年に戻ってしまい、夏草も母もいままで見えなかったことについてさまざま考えるようになる。大切な人のことを知りたいという切実な思いが、ヒンメリというライ麦の麦わらで作るフィンランドの手仕事をおばあちゃんがはじめたきっかけに辿りつかせたのだった。信仰や愛、おもいやり、家族、さまざまなことを想わされる。切なく苦しく、思いやりに満ちてあたたかい一冊である。

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