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月は怒らない*垣根涼介

  • 2011/09/17(土) 16:41:56

月は怒らない月は怒らない
(2011/06/03)
垣根 涼介

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梶原33歳●仕事は多重債務者の借財の整理。謄本の代理人申請のために訪れた市役所の戸籍係の女を一目見た瞬間、声を失った。弘樹20歳●バーで女がチンピラに絡まれて目の前で転んだ。助け起こした瞬間、女の顔に釘付けになった。和田34歳●勤務先の交番の前の市役所に自転車で通う女。既婚者のくせに俺はいつもその女を探している――。化粧もしない。服も地味。美人でもないその女・恭子に3人の男たちは、どうしようもなく魅かれていく。一方恭子は男たちの求愛を受け、3人と付き合い始める。接点のない3人だが、それぞれに思う、恭子は不思議な女だ。決してモノを欲しがらない。故郷や家族のことは話さない。会っている時間以外のことは未知。でも魅かれる。理由は何だ、いったいこの女の過去には何があるのか……。3人の男たちの視点を通して、恭子というなぞの女の正体が焙り出されていく。人と人との繋がりの意味を問う著者渾身の挑戦作


三谷恭子という女のことがとにかくよくわからなくて、次のページでは何かわかるかも、という思いで読み進む。彼女のスタンスや価値観、人との関わりのありようがどうにも胸にすとんと落ちないのである。彼女と関わる三人の男たちもおそらく大なり小なりそうだったのではないだろうか。彼らの目を通して描かれる恭子像からは、親しくなっても決して侵すことのできない他人との距離感が感じとれる。井の頭公園のベンチで日曜日ごとに顔を合わせる記憶障害の老人は、そんな恭子の屈託を結果的に解きほぐしてくれたのだろう。恭子の選択と選ばれた者・捨てられた者の反応も興味深い。底知れない深い傷と踏み込み過ぎない深い愛を感じられる一冊である。




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じゃじゃままブックレビュー

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月は怒らない 垣根涼介著。

≪★★☆≫ 市役所に勤める地味な女性三谷恭子、そして、なぜか彼女の魅力にとりつかれて惚れてしまった三人の男たち。男たちの求愛を受け入れる恭子。 付き合う条件として、私生活を聞いてはならない、詮索してもならない、一緒に過ごす時間だけが恭子を知る時間。 風俗…

  • From: じゃじゃままブックレビュー |
  • 2011/12/28(水) 14:16:09

この記事に対するコメント

なにか大きな動きあるのかな~って期待しながら結局読み終えてしまって・・・あら?恋愛小説?って。(苦笑)
大学生の嫉妬にかられた行動と警察官がもっと怪しくなるのかと思ってました。

  • 投稿者: じゃじゃまま
  • 2011/12/28(水) 14:20:32
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別の展開をあれこれ想像したけれど、哀しい愛の物語、でしたね。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2011/12/28(水) 17:10:22
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