緑ヶ丘小学校大運動会*森谷明子

  • 2011/10/06(木) 19:19:54

緑ヶ丘小学校大運動会緑ヶ丘小学校大運動会
(2011/07/20)
森谷 明子

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運動会の朝、マサルは学校で薬のパッケージを見つける。殺人の証拠だと考え、それを隠しておくことに。一方、父親はドラッグが出回っていることを嗅ぎつける。プログラムが進行するにつれ、明らかになる大人の思惑と、膨らんでゆく子供たちの想像。そして意外な真実! 運動会の一日を舞台にした技巧冴え渡る長編ミステリー。


運動会のプログラムがそのまま目次になっているところは、山本幸久さんの『パパは今日、運動会』を思い出させるが、内容はもちろんまったく違う。こちらは小学校の運動会を舞台にしたどうにも不穏な物語である。狭い校庭にぎゅう詰めの保護者たち、事なかれ主義の学校側、想像力も好奇心も旺盛な小学生たち、この三拍子が揃ってはじめて成り立つ設定である。運動会という健全な行事の裏側で秘密裏に動き回る大人たちの思惑にはやりきれなさを覚えるし、さらにラスト近くに明かされるそもそもの真実には目を疑いたくなる。子どもたちが先輩や仲間のために知恵を絞っているのに対して、対面や我が身のことばかり考えて行動する大人たちの浅ましさが哀れにさえ思われる。子どもたちに教えられるような心地の一冊である。

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