あめりかむら*石田千

  • 2011/10/12(水) 14:13:08

あめりかむらあめりかむら
(2011/08)
石田 千

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病再発の不安を消そうと出た旅先で、体の異変に襲われた道子。その瞬間脳裏に現われたのは、あれほど嫌っていた青年の姿だった―。エリートビジネスマンへの道をまっしぐらに進み、周囲の誰からも煙たがられた友人との心の絆を描き、芥川賞候補作となった表題作。下町の、古本屋を兼ねた居酒屋で繰り広げられる人情ドラマ「大踏切書店のこと」。いじめにあう幼な子と、犬との心の交流を描いた「クリ」など五篇を収録。著者初の小説集。


表題作のほか、「「クリ」 カーネーション」 「夏の温室」 「大踏切書店のこと」

初の小説集とのこと。だが、これほどエッセイと小説の手触りが変わらない作家も珍しいのではないだろうか。そのままエッセイであると言われても少しの違和感もないだろう。「大踏切書店のこと」の主人公が男性だと判ったときに少なからず驚かされたくらいで。どの物語も「病」というキーワードでゆるくつながるので、もの哀しさと切実さが漂い流れている。最後に配された「大踏切書店のこと」だけがほんの少し異質で、そしてわたしはこれがいちばん好きだった。それでも日々は流れていくのだと思わされる一冊である。

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