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キャベツ炒めに捧ぐ*井上荒野

  • 2011/10/23(日) 16:40:31

キャベツ炒めに捧ぐキャベツ炒めに捧ぐ
(2011/09)
井上 荒野

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東京の私鉄沿線の、小さな町のささやかな商店街の中に「ここ家」がある。こだわりのご飯に、ロールキャベツ、肉じゃが、コロッケ、ひじき煮、がんも、あさりのフライ、茄子の揚げ煮、鰺のフライ・・・・・・、「ここ家」のお総菜は、どれもおいしい。オーナーの江子は61歳。友だちとダンナが恋仲になってしまい、離婚。麻津子は、60歳。ずっと想いつづけている幼ななじみの年下の彼がいる。一番新入りの郁子は、子どもにもダンナにも死に別れた60歳過ぎ。3人は、それぞれ、悲しい過去や切ない想いを抱きながらも、季節ごとの野菜や魚などを使い、おいしいお総菜を沢山つくり、お酒を呑み、しゃべって、笑って、楽しく暮らしています。


同年代だがそれぞれ違う屈託を持つ江子・麻津子・郁子の三人がとてもいい。一見気が合うようには見えないながら、食べものという人が生きる上での根源的なところでつながっているような安心感がある。長く生きてくると屈託もあれこれと形を変え、なにもかも放り出したくなることもあるだろうが、「ここ家」の厨房で、旬の食材を前にして、あれを作ろう、これにしよう、と言い合う三人のやり取りが、それでも前を見て生きていくんだと教えてくれるような気がする。進くんがほどよいスパイスになっている一冊である。

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