それでも彼女は歩きつづける*大島真寿美

  • 2011/11/03(木) 17:00:51

それでも彼女は歩きつづけるそれでも彼女は歩きつづける
(2011/10/03)
大島 真寿美

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女性映画監督に翻弄された6人の女性の物語

映画監督・柚木真喜子が海外の映画祭で賞に輝いた。OLを辞めてまで柚木と一緒に映画の脚本を書いていた志保。柚木の友人の後輩で当時柚木の彼氏だった男性を奪い結婚したさつき。地元のラジオ番組の電話取材を受けることになった年の離れた実の妹の七恵。柚木が出入りしていた画家の家で柚木と特別な時間を過ごしたことがある亜紀美。息子がどうやら柚木に気があるらしいと気を揉む柚木が所属する芸能事務所の女社長である登志子。柚木に気に入られ彼女の映画「アコースティック」で主演を演じた十和。柚木に翻弄された6人の女性たちのそれぞれの視点で描かれた連作短編小説。ラストにはシナリオを配した構成の、著者渾身の最新作!


「転がる石」 「トウベエ」 「チューリップ・ガーデン」 「光」 「伸びやかな芽」 「流れる風」 「リフレクション」

柚木真喜子が鍵となる連作であり、彼女のことが語られているのだが、柚木真喜子自身の主観はまったくと言っていいほど判らない。語るのは柚木真喜子の周囲にいて彼女の行動や作品に深く関わった女性ばかりである。すぐ近くで接しており、柚木真喜子をよく知っているはずなのだが、しかし柚木真喜子の核心はほぼわからない。映画監督として海外の賞を取ったが、メジャーというわけでも華やかさがあるわけでもなく、その作品もよくわからないと評されるようなものである。だが映画に掛ける熱は並大抵ではないものがある。という風に表面的なことはわかっても、柚木真喜子という人の内面はまったく見えてこないのが不思議なほどである。読者は痒いところの遠くばかり掻かれているようで、どんどん柚木真喜子のことを知りたくなって自分から手を伸ばして掴もうとするのである。不思議な読み心地の一冊である。柚木真喜子が一人称の物語を読んでみたくなる。




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それでも彼女は歩きつづける 大島真寿美著。

≪★★★≫ 映画監督である柚木真喜子が海外の映画祭で賞を取った。その柚木真喜子と様々な形で関わった女性たちのそれぞれの視点の物語。 かつて柚木と激しくぶつかり合った共同製作者の志保。 柚木真喜子の恋人であった男性を好きになり、柚木の友人である先輩に後押し…

  • From: じゃじゃままブックレビュー |
  • 2012/02/12(日) 16:53:14

この記事に対するコメント

不思議な小説でした。
読みやすいようでいて、つかみ所のないような。大島さんの物語の登場人物がだんだん大人になってきて、わたし的には寂しいです。
少女が知らず知らずのうちに成長してた、ってところが好きだったので。

  • 投稿者: じゃじゃまま
  • 2012/02/12(日) 16:57:27
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迫ろうとするとかえって遠ざかるようでもどかしさもありました。
不思議な感じでしたねぇ、ほんとうに。
そして登場人物たち、見事に大人でした。^^

  • 投稿者: ふらっと
  • 2012/02/12(日) 17:04:44
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