不愉快な本の続編* 絲山秋子

  • 2011/11/20(日) 17:19:35

不愉快な本の続編不愉快な本の続編
(2011/09)
絲山 秋子

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女と暮らす東京を逃げ出した乾。新潟で人を好きになり、富山のジャコメッティと邂逅し、そして故郷・呉から見上げる、永遠の太陽―。不愉快な本を握りしめ彷徨する「異邦人」を描き、文学の極点へ挑む最新小説。


富山では地元民ではない人のことを――たとえそこに住んでいても――「たびの人」というらしい。そしてこの物語の主人公・乾は、まさにたびの人である。どこへ行っても誰と暮らしてもそこは彼の居場所ではなく、常に逃げ腰の人生である。嘘しかないいい加減な男だという自覚はあるのに、そんな自分をどこか覚めた目で嘲笑しながら自虐的に生きているようにも見える。典型的なろくでなしなのだが憎みきれないのはなぜだろう。不愉快な本から抜け出したというのに、結局はその続編に封じ込められてしまったような一冊である。

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