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すべて真夜中の恋人たち*川上美映子

  • 2011/12/05(月) 07:33:57

すべて真夜中の恋人たちすべて真夜中の恋人たち
(2011/10/13)
川上 未映子

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<真夜中は、なぜこんなにもきれいなんだろうと思う。
それは、きっと、真夜中には世界が半分になるからですよと、いつか三束さんが言ったことを、わたしはこの真夜中を歩きながら思い出している。>
入江冬子(フユコ)、34歳のフリー校閲者。人づきあいが苦手な彼女の唯一の趣味は、誕生日に真夜中の街を散歩すること。友人といえるのは、仕事で付き合いのある出版社の校閲社員、石川聖(ヒジリ)のみ。ひっそりと静かに生きていた彼女は、ある日カルチャーセンターで58歳の男性、三束(ミツツカ)さんと出会う・・・。

あまりにも純粋な言葉が、光とともに降り注ぐ。
いま、ここにしか存在しない恋愛の究極を問う衝撃作。


物語り中にひたひたと流れている、主人公の冬子さんの現代を生きにくそうな性格と自信のなさからくる世を儚んだ孤独感が、読者の胸の中にも流れ込んでくる。ひとりで歩くクリスマスイブの誕生日の真夜中の町の光の具合や、ひとりの部屋の床の冷たさなどが、実感を伴って迫ってくる。そんななかで出会った三束さんとの静かなひととき。冬子の殻が少しずつ柔らかくなり、崩れそうになる様子を、読者は冬子と共に固唾を呑んで見守るのである。ひとりぼっちではないのに、余計にさみしく苦しい感じが伝わってきて切なくなる。静かであたたかくさみしい光に包まれるような一冊である。

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