ぐるぐる七福神*中島たい子

  • 2011/12/26(月) 07:41:53

ぐるぐる 七福神ぐるぐる 七福神
(2011/10/20)
中島 たい子

商品詳細を見る

恋人なし、お金なし、趣味もなし――。派遣社員で人嫌いな主人公船山のぞみ32歳。街で偶然あった知人に、元カレのインドでの客死を聞き、さらに落ち込む日々を暮らす彼女だが、入院した祖母の家で見つけたご朱印の書かれた色紙を見つける。七福神のご朱印が揃ったはずの色紙には、しかし六つの神までしか書かれておらず、のぞみは祖母の快復を祈願し欠けている一つ「寿老人」を埋めるべく七福神めぐりをはじめるが――。 谷中、武蔵野、日本橋、港、亀戸、浅草。下町情緒あふれる町並みから、寺社の存在を忘れるような近代的な街まで、さまざまな街を足で歩いていくなかで、普段の忙しい生活では気づき得なかった東京の新しい魅力が見えてきて、のぞみの傷つき閉ざされた心も少しずつ変化があらわれる。その中で死んだはずの恋人・大地の新しい情報も見えてきて……。 ひっそりとたたずむ寺社とその周囲に残されて都会とは思えない木々や花々の自然、門前の商店街のグルメや人情など、歩く速度でしか見えない、東京の古くて新しい魅力を再発見しつつ、ひとりの女性の再生の軌跡を、爽やかかつユーモアのある筆致で綴る“新感覚プチロード小説”。


自分と関わった人の運命を悪い方へ変えてしまうのではないか、という思いから人付き合いを敬遠してきた船山のぞみ。祖母の入院がきっかけで、寿老人の御朱印を求めて七福神めぐりをすることになる。谷中、武蔵野、日本橋、湊、インド、亀戸、浅草と、地図までついて、のんきな七福神巡りガイドブックのような趣でもあるが、実は内容は結構シビアなのである。七福神めぐりが縁で知り合った人や、古い友人などを巻き込み、彼らの思わぬ側面を発見したり、事の真相を知らされ拍子抜けしたり、うまい具合に御朱印をいただけずに困惑したりしながら、次第に当初の目的とはいささか違った意味で七福神をめぐるようになっていくのだ。ラスト一章はキャスト勢揃いのにぎやかな七福神めぐりであるが、そこで得た自分なりの答えは、これからののぞみを必ずや前向きにしてくれることだろうと思わされる。七福神巡りもさることながら、出てくる食べ物も魅力的な一冊である。

この記事に対するトラックバック

この記事のトラックバックURL

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

この記事に対するコメント

この記事にコメントする

管理者にだけ表示を許可する