キリハラキリコ*紺野キリフキ

  • 2012/01/21(土) 16:59:20

キリハラキリコキリハラキリコ
(2006/08/22)
紺野 キリフキ

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不思議で不条理でおかしさに彩られた新小説
キリハラキリコの住むキリキリ町はおかしなことばかり起こる。誰も来ない始業式の教室。贋作マンガを売る古書店。蕎麦がにゅるにゅると飛び出るシャワー。季節ごとに必ず起こる停電。時の流れを教えにやってくる暦屋。特殊な才能を持ちながらも敗北が似合う男ミスター水村。キリコのまわりで起こる奇妙で愉快でちょっぴり哀しい出来事を彼女が日記のかたちで綴る。やがて、町に2カ月も続く大停電が訪れ、キリコの日記も最後のページが記される。 小学館文庫小説賞の佳作入選作を大幅改稿。従来の形式を打ち破る不条理で不思議で自由な小説空間は読む者をキリコのワンダーランドへとひき込む。携帯サイト『The News』で1日平均6万件のアクセスも記録した異色作。


ズバリ中学生・キリハラキリコの日記である。しかし、ただの日記ではない。いやただの日記なのだが、その内容がただ事ではないのである。でもそれがキリコの住むキリキリ町では普通のことなのだ(たぶん)。キリコを初めとする登場人物も、一件普通らしく見えても、その実なんだかどこかこれまで知っている人たちとは違い、それがキリコの日常にしっくり馴染んでいるから、読者はなおさら据わりの悪い思いをするのであるが、それがまた快感にもなってくる。違和感に包まれながら読みはじめたはずなのに、これはこれでいいか、といつのまにか受け入れてしまっていることに気づくのである。世界の裂け目からするりと入り込んでしまったような一冊である。

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