傷痕*桜庭一樹

  • 2012/02/07(火) 17:07:07

傷痕傷痕
(2012/01/12)
桜庭 一樹

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この国が20世紀に産み落とした偉大なるポップスターがとつぜん死んだ夜、報道が世界中を黒い光のように飛びまわった。彼は51歳で、娘らしき、11歳の子どもが一人残された。彼女がどうやって、誰から生を受けたのか、誰も知らなかった。凄腕のイエロー・ジャーナリズムさえも、決定的な真実を捕まえることができないままだった。娘の名前は、傷痕。多くの人が彼について語り、その真相に迫ろうとする。偉大すぎるスターの真の姿とは?そして彼が世界に遺したものとは?―。


舞台は日本であり、登場人物ももちろん日本人であるが、どこをどう見てもマイケル・ジャクソンである。だが、そうとわかって読んでもなお、これはまぎれもなく著者の世界なのである。我国が誇るキング・オブ・ポップの弾け輝く一生と、併せ持つ寂しさ哀しさが胸に迫る。突然どこからか現れた彼の娘・傷痕も、彼と二人だけのときの委ね切った子どもらしさと、表に晒されるときの痛々しさが裏腹で切ない。彼亡きあとの傷痕のしあわせを祈らずにはいられない。強すぎる光の一歩外がいちばん深い闇であるような寂しい印象が強く胸に残る一冊である。

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