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銀河に口笛*朱川湊人

  • 2012/02/08(水) 19:26:45

銀河に口笛銀河に口笛
(2010/03/05)
朱川 湊人

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昭和40年代――。小学3年生の僕らは、身の回りに起こる不思議な事件を解決する「ウルトラマリン隊」を結成した。やがて僕らの小学校に不思議な力を持つ少年リンダが転校してきた……。ノスタルジックな雰囲気満載の連作長編小説。


時代の雰囲気を、主人公の少年たちとほぼ同年代として体験しているだけに、その場に流れる空気がとてもよくわかり懐かしい。大人になったモッチがいまはもう会えないキミ=リンダに語りかけながら回想するという手法をとっているのでなおさらノスタルジックな趣になるのかもしれない。子どもたちを取り巻く大人の世界ではさまざまな出来事が起こり、その影響は、子どもたちの世界にも大人が思うよりも色濃く及ぶ。子どもなりに頭を悩ませ、自分たちで解決していることも意外に多いのである。流れ星が落ちた日に出会った少年リンダは、少し不思議な力を持ち、彼らの日常に小さな波紋を広げ、虹色の夢を見せたのかもしれない。読みながらときどき小路さんを読んでいるような心地になった。悪人の出てこない、切なく胸に沁みる一冊である。

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