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弥勒の月*あさのあつこ

  • 2012/03/09(金) 19:28:12

弥勒の月 (文芸)弥勒の月 (文芸)
(2006/02/22)
あさの あつこ

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小間物問屋「遠野屋」の若おかみ・おりんの溺死体が見つかった。安寧の世に満たされず、心に虚空を抱える若き同心・信次郎は、妻の亡骸を前にした遠野屋主人・清之介の立ち振る舞いに違和感を覚える。―この男はただの商人ではない。闇の道を惑いながら歩く男たちの葛藤が炙り出す真実とは。


逆順に読んできた遠野屋シリーズの、これが一作目である。清之介の新妻おりんの死の真相を暴くのが大きな柱だが、同心・信次郎と遠野屋清之介との出会いの物語でもある。すでに読んだ二作に比べ、清之介の気配の鋭さもまだいなし切れていないように見受けられるのは気のせいだろうか。信次郎と、岡っ引きの伊佐治親分との関係は一作目から変わらないようである。二作目、三作目でおりんの死の裏に隠された事情が気になっていたが、これほど寝の深い狂気に満ちたものだったとは、想像のほかであった。おりんも、清之介も、母のおしのもあまりにも哀しすぎる。最後に配された、おりんと清之介の出会いの場面が涙を誘う。最新作『東雲の途』ではどんな展開が待っているのか、愉しみなシリーズである。

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