おまえさん【上】【下】*宮部みゆき

  • 2012/03/23(金) 18:54:37

おまえさん(上)おまえさん(上)
(2011/09/22)
宮部 みゆき

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痒み止め薬「王疹膏」を売り出し中の瓶屋の主人、新兵衛が斬り殺された。本所深川の“ぼんくら”同心・井筒平四郎は、将来を期待される同心・間島信之輔(残念ながら醜男)と調べに乗り出す。その斬り口は、少し前にあがった身元不明の亡骸と同じだった。両者をつなぐ、隠され続けた二十年前の罪。さらなる亡骸…。瓶屋に遺された美しすぎる母娘は事件の鍵を握るのか。大人気“ぼんくら”シリーズ第三弾。あの愉快な仲間たちを存分に使い、前代未聞の構成で著者が挑む新境地。


辻斬りに遭ったと思われる身元不明の男の亡骸が見つかり、そのあとになかなか消えない人像(ひとがた)が残された。その後、生薬屋・瓶屋の主人・新兵衛が斬られ、どうやら同じ人物の手によるらしいと判明し、同心・井筒平四郎と間島信之輔は調べに乗り出す。平四郎の甥・弓之助や、信之輔の叔父・源右衛門の知恵を借り、岡っ引き・政五郎やその手下のおでこの三太郎の助けも借りながら、二十年前のいわくに遡る。平四郎が入り浸っているお菜屋のお徳とのやりとりも気持ちがいいし、彼らを取り巻く人たちがみな生き生きと描かれていて、ほんとうに生きていて、日々を暮らしているような心地にさせられる。上巻では、いよいよこれからミステリ部分の謎が解き明かされるか、というところで終わっているのも、巧みである。早く続きを知りたい要素がたくさんの一冊である。下巻が愉しみ。


おまえさん(下)おまえさん(下)
(2011/09/22)
宮部 みゆき

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二十年前から続く因縁は、思わぬかたちで今に繋がり、人を誤らせていく。男は男の嘘をつき、女は女の道をゆく。こんがらがった人間関係を、“ぼんくら”同心・井筒平四郎の甥っ子、弓之助は解き明かせるのか。事件の真相が語られた後に四つの短篇で明かされる、さらに深く切ない男女の真実。


謎解きは、切なくやり切れないものだった。盲点ともいうべき人物の存在が浮かび上がり、にわかにそれまでとは違った方向に目が向けられるようになったのである。「おまえさん」は、過去の罪が生んだ哀しい事件を解き明かす物語だが、それに連なる四つの物語は、人の恋心の物語でもあるように思われる。恋ゆえに理不尽な想いに悩み、恋ゆえに恐ろしい目に遭い、恋ゆえに真実を見失う。そして今作では、レギュラー陣の人となりがより生き生きと濃く感じられた。弓之助とおでこ、そして弓之助の兄・淳三郎のこれからもずっと見守っていきたいと思わされる一冊である。



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おまえさん 上巻 宮部みゆき著。

《★★★★》 「ぼんくら」「日暮し」に続く井筒平四郎と甥っ子弓之助が江戸の町で起こった遺恨ありの人斬り事件に挑むシリーズ第三弾。 おなじみのお徳さんや政五郎、おでこの面

  • From: じゃじゃままブックレビュー |
  • 2012/07/07(土) 22:18:23

おまえさん 下巻 宮部みゆき著。

《★★★★★》 身元不明の辻斬り、生薬屋瓶屋の主殺し、二十年前の大黒屋がすべてを結んでいた。そして夜鷹殺し。 瓶屋の後妻佐多枝と、美しい一人娘史乃の間にある哀しい誤解。

  • From: じゃじゃままブックレビュー |
  • 2012/07/11(水) 23:13:19

この記事に対するコメント

今「おまえさん」下巻の最中なんですけど、もったいなくてまだ最後までいってないんです。あとちょっとで「おまえさん」(承前)が終わりそうで、一気にいっちゃいたいのに、好きな食べ物を最後にしてるみたいに、ずるずると先延ばしにしてます。(笑)
でもやっぱり宮部さんの時代物は、最後切ないんですよね~。

  • 投稿者: じゃじゃまま
  • 2012/07/07(土) 22:21:55
  • [編集]

いつの時代も想いは同じだ、とも思わされるけれど、この時代だからこその切なさもありますね。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2012/07/08(日) 06:46:42
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やはり切なかったですね。
ただ、「残り柿」で嫌いだったおきえを少し好きになれて安心しました。

  • 投稿者: じゃじゃまま
  • 2012/07/11(水) 23:15:09
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おきえ、はじめはどうしてこんなに薄情なんだ!
と憤慨しましたよねー。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2012/07/12(木) 06:23:53
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