玉村警部補の災難*海堂尊

  • 2012/04/07(土) 16:51:54

玉村警部補の災難玉村警部補の災難
(2012/02/10)
海堂 尊

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田口&白鳥シリーズでおなじみの、桜宮市警察署の玉村警部補とキレ者・加納警視正が活躍する、ミステリー短編集です。ずさんな検死体制の盲点を突く「東京都二十三区内外殺人事件」、密室空間で起きた不可能犯罪に挑む「青空迷宮」、最新の科学鑑定に切り込んだ「四兆七千億分の一の憂鬱」、闇の歯医者を描く「エナメルの証言」――2007年より『このミステリーがすごい!』に掲載してきた4編をまとめた、著者初の短編集です。


デジタル・ハウンドドッグのコードネーム通り、加納警視正の嗅覚は並の鋭さではない。その嗅覚が嗅ぎつけた正しくない臭いの元に、超法規的な越権行為で食い込み、真相を明らかにしてしまうのだから、正義の味方のような存在であると言ってもいいはずである。だが、そう手放しで褒め称えられないのは、その強引なキャラクターと、手足のように使われる玉村警部補の情けなくもの哀しい表情が目に浮かぶようだからというのも理由のひとつかもしれない。それでも、事件は解決し、ときには警察の捜査の杜撰さも露呈され、玉村警部補は田口先生のところへ愚痴をこぼしにやってくるのである。短篇集ということもあり、大きな事件の隙間的事件の数々でもあるが、玉村警部補の人柄も手伝って、愉しめる一冊になっている。タマちゃんファンが増えるかもしれない。

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