こころ*夏目漱石

  • 2012/05/22(火) 11:07:46

こころ (新潮文庫)こころ (新潮文庫)
(2004/03)
夏目 漱石

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「先生と私」「両親と私」「先生と遺書」の三部からなる、夏目漱石の長編小説。拭い去れない過去の罪悪感を背負ったまま、世間の目から隠れるように暮らす“先生”と“私”との交流を通して、人の「こころ」の奥底を、漱石が鋭い洞察と筆力によって描いた不朽の名作。学生だった私は鎌倉の海岸で“先生”に出会い、その超然とした姿に強く惹かれていく。しかし、交流を深めていく中で、“先生”の過去が触れてはいけない暗部として引っかかり続ける。他人を信用できず、自分自身さえも信用できなくなった“先生”に対し、私はその過去を問う。そしてその答えを“先生”は遺書という形によって明らかにする。遺された手紙には、罪の意識により自己否定に生きてきた“先生”の苦悩が克明に記されていた。己の人生に向き合い、誠実であろうとすればするほど、苦しみは深くなり、自分自身を許すことができなくなる…。過去に縛られ、悔やみ、激しい葛藤のなかで身動きのとれなくなった“先生”の人生の様はあなたに何を訴えかけるだろうか。人は弱いものなのか…、シンプルでもありまた不可解でもある人の「こころ」のありようを夏目漱石が問いかける。人はどのように救われるのか?


小路幸也さんの来月発売予定の新刊が、本作を読んでいないと判りづらいところがあると知って、40年ぶりくらいに読み返してみた。なにやら沈鬱な印象しか憶えていなかったが、長い年月を経て読んでみると、先生が心に負った痛手や重荷が胸に圧し掛かるように思われる。「先生と私」で客観的に外側から見た先生の姿が描かれているだけに、「先生と遺書」の先生自らの述懐がなおさら胸に詰まるのである。中断の「両親と私」があることによって、人と人とのかかわりがより鮮明に浮かび上がってくるようにも思われる。小路さんの新作のなかでどう扱われるのかも愉しみである。

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