楽園のカンヴァス*原田マハ

  • 2012/06/27(水) 18:35:22

楽園のカンヴァス楽園のカンヴァス
(2012/01/20)
原田 マハ

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ニューヨーク近代美術館の学芸員ティム・ブラウンは、スイスの大邸宅でありえない絵を目にしていた。MoMAが所蔵する、素朴派の巨匠アンリ・ルソーの大作『夢』。その名作とほぼ同じ構図、同じタッチの作が目の前にある。持ち主の大富豪は、真贋を正しく判定した者に作品を譲ると宣言、ヒントとして謎の古書を手渡した。好敵手は日本人研究者の早川織絵。リミットは七日間―。ピカソとルソー。二人の天才画家が生涯抱えた秘密が、いま、明かされる。


アンリ・ルソーとその作品をめぐる物語である。だがそれだけではない。画家を、絵画を、美術を愛する人たちの深い愛の物語でもある。個人的には美術には全く造詣が深くないので、読みはじめは、苦労するのではないか、とちらっと思ったが、それは全くの杞憂だった。あっという間に物語に惹きこまれ、わくわくしながら読み進んだ。冒頭の平穏な現在の描写から、わくわくと胸躍る過去の体験へと遡り、すべての事情を知ったうえでまた現在に戻ってくるという構成も効果的だと思う。そして過去の結末の驚きは、衝撃的だった。表紙の「夢」のモデルであるヤドヴィガの夫・ジョゼフが後々何らかの形でキーマンになるだろうとは思っていたが、まさかこんな風にかかわってくるとは。お見事である。ルソーやピカソが生身の人間として身近に感じられるようになる一冊である。

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この記事に対するコメント

もともとキュレイターであり、
それ以前にルソーをはじめとする
絵画・美術品の一ファンとしての愛情が
惜しみなく表現された一冊でしたね

  • 投稿者: チョロ
  • 2012/06/28(木) 13:43:10
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想像以上に惹きこまれる作品で、満ち足りた読書タイムを過ごすことができました。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2012/06/28(木) 16:48:52
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