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ぬるい毒*本谷有希子

  • 2012/08/27(月) 17:00:42

ぬるい毒ぬるい毒
(2011/06)
本谷 有希子

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ある夜とつぜん電話をかけてきた、同級生と称する男。嘘つきで誠意のかけらもない男だと知りながら、私はその嘘に魅了され、彼に認められることだけを夢見る―。私のすべては、23歳で決まる。そう信じる主人公が、やがて24歳を迎えるまでの、5年間の物語。


19歳の熊田由理に、高校の同級生の向伊と名乗る男から電話がかかってきたのが始まりである。高校のときに借りたお金を返したいから、家の外に出てきてくれないか、と言われて出てみると、イケメンだが憶えのない男がそこにいた。向伊は嘘つきだった。由理は向伊の嘘にしてやられている風を装って、いつか鼻を明かしてやろうと企てるが、それはもしかするとすでに恋に落ちたということなのかもしれない。恋愛物語なのか、とも思うが、それほど単純なものでもなく、あらゆることが屈折している。タイトルの通り、ぬるい毒を吐きながら、周りだけでなく自らもその毒にじわじわと侵されていくような厭な心地にさせられる。由理にとって向伊はきっかけに過ぎなかったのかもしれない。家の、そしてそもそも自分というしがらみから解放されるための。少しずつ侵されていくような一冊である。

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