流れ星が消えないうちに*橋本紡

  • 2012/09/12(水) 14:16:50

流れ星が消えないうちに流れ星が消えないうちに
(2006/02/20)
橋本 紡

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高校時代から付き合っていた恋人・加地君が自分の知らない女の子と旅先の事故で死んでから、1年半。奈緒子は、加地の親友だった巧と新しい恋をし、ようやく「日常」を取り戻しつつあった。ただひとつ、玄関でしか眠れなくなってしまったことを除いては――。
深い悲しみの後に訪れる静かな愛と赦しの物語。


泣けたらいいのに、と思いながら読み進んだ。声を上げて、だれかれ構わず思いをぶつけることができたなら、奈緒子の重荷もほんの少しは軽くなるだろうに、と。だが、そうせずに裡へ裡へと潜り込み、膝を抱えて丸くなって蹲りつづけたからこそ熟成したものもあったのかもしれない。加地君が小学生のころ落ちた溝を見た途端、堰を切ったように溢れ出た涙は、それらを浄化するとともに、受け止めてくれる巧君の存在の大きさがあったからこそのものだろう。あまりにも悲しく、哀しく、閉じた物語だが、ラストに向かってほんの小さな隙間ができたように思えて胸をなでおろした。流れ星マシンのスリットのようなほんの少しの隙間がこんなにも希望を与えてくれるのかと思わされた一冊である。

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