とにかくうちに帰ります*津村記久子

  • 2012/11/25(日) 08:29:32

とにかくうちに帰りますとにかくうちに帰ります
(2012/02/29)
津村 記久子

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うちに帰りたい。切ないぐらいに、恋をするように、うちに帰りたい――。職場のおじさんに文房具を返してもらえない人。微妙な成績のフィギュアスケート選手を応援する人。そして、豪雨で交通手段を失った日、長い長い橋をわたって家に向かう人――。それぞれの日々の悲哀と矜持、小さなぶつかり合いと結びつきを丹念に描く、芥川賞作家の最新小説集。働き、悩み、歩き続ける人たちのための六篇。


「職場の作法」
   ブラックボックス
   ハラスメント、ネグレクト 
   ブラックホール
   小規模なパンデミック
「バリローチェのフアン・カルロス・モリーナ」
「とにかくうちに帰ります」

本土から離れた「洲」にある小さな会社が舞台の連作である。私(鳥飼)の目線で、先輩や上司との職場での日常のあれこれが語られるのだが、そのどれもが些細なことでありながら、チクリと胸を刺されたり、それぞれの人の人となりがそれとなくにじみ出ていたりして興味深い。人間ってこうだよなぁ、と思わず深くうなずいてしまったりもする。そして表題作では、ほんとうにほんとうに心から屋根って素晴らしい、と思わされる。凄まじい雨に降りこめられた人たちが、とにかく何をおいても屋根のある家に帰って力を抜けることを祈らずにはいられない。不思議に魅力的な一冊である。

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