母性*湊かなえ

  • 2012/12/28(金) 11:24:26

母性母性
(2012/10/31)
湊 かなえ

商品詳細を見る

「これが書けたら、作家を辞めてもいい。そう思いながら書いた小説です」著者入魂の、書き下ろし長編。持つものと持たないもの。欲するものと欲さないもの。二種類の女性、母と娘。高台にある美しい家。暗闇の中で求めていた無償の愛、温もり。ないけれどある、あるけれどない。私は母の分身なのだから。母の願いだったから。心を込めて。私は愛能う限り、娘を大切に育ててきました──。それをめぐる記録と記憶、そして探索の物語。


第一章/厳粛な時 第二章/立像の歌 第三章/嘆き 第四章/ああ 涙でいっぱいのひとよ 第五章/涙の壺 第六章/来るがいい 最後の苦痛よ 終章/愛の歌

終章以外の各章が、「母性について」「母の手記」「娘の回想」という三部から成っている。それぞれ主役になっているのが誰なのか。母と娘はすぐに判るが、母性について語るのが誰なのかはなかなか明らかにはされない。だが、母と娘が体験したことごとの受け取り方、感じ方が語られる間に、母性についてというクッションがあることによって、読者は母娘の世界に浸りきることなく、一旦現実的な興味に引き戻され、立ち止まって考えることができるような気がする。母と娘の関係性の強さ太さと儚さ脆さ、母性というものの千差万別さを改めて考えさせられる一冊でもあった。

この記事に対するトラックバック

この記事のトラックバックURL

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

この記事に対するコメント

この記事にコメントする

管理者にだけ表示を許可する