大きな音が聞こえるか*坂木司

  • 2013/01/06(日) 17:04:06

大きな音が聞こえるか大きな音が聞こえるか
(2012/12/01)
坂木 司

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八田泳、高校一年生。そこそこ裕福でいわゆる幸せな家庭の息子。帰宅部。唯一の趣味はサーフィン。凪のように平坦な生活に自分を持て余している。だがそんな矢先、泳は製薬会社に勤める叔父がブラジル奥地へ行くと知らされた。さらにアマゾン川の逆流現象=ポロロッカで波に乗れるという情報を聞いて―小さな一滴が大きな波紋を生んでいく、等身大の成長物語。


温い毎日をなんとなく生きている泳は、それでもなんとなくは、いまのままではいけないような気分を抱えていた。いつもサーフィンをしに行く海には、仙人と呼ばれる人がいて、終わらない波に乗ったことがあるという。そんなとき、製薬会社に勤める母の弟の剛がブラジルに赴任し、アマゾンの奥地へ行くという。アマゾンには川を遡る巨大な波=ポロロッカがあるということを初めて知る。そのとき、泳のスイッチが入ったのだった。ポロロッカに乗りに行くために、バイトをして旅費を稼ぎ、両親を説得するところから、泳の新しい日々は始まった。友人の二階堂や、バイト先の人たちとの交流、家族の在りよう、クラスでの在り方。普通の生ぬるい高校生としての泳と、目的に向かって遮二無二進む泳とのギャップが微笑ましい。そしてアマゾンに行ってからの泳と、夢を叶えて帰国してからの泳の違いも著しく、その成長ぶりが頼もしくもある。それぞれの場所でそのときそのときで頑張る姿がとてもいい一冊である。

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