神様のカルテ3*夏川草介

  • 2013/01/11(金) 17:01:43

神様のカルテ 3神様のカルテ 3
(2012/08/08)
夏川 草介

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医者にとって大事なことは、続けることだ。

栗原一止は、信州にある「24時間365日対応」の本庄病院で働く内科医である。医師不足による激務で忙殺される日々は、妻・ハルの支えなくしては成り立たない。昨年度末、信濃大学医局からの誘いを断り、本庄病院残留を決めた一止だったが、初夏には恩師である古狐先生をガンで失ってしまう。落ち込んでいても患者の数が減るわけではない。夏、新しい内科医として本庄病院にやってきた小幡先生は、内科部長である板垣(大狸)先生の元教え子であり、経験も腕も確かで研究熱心。一止も学ぶべき点の多い医師だ。
しかし彼女は治ろうとする意思を持たない患者については、急患であっても受診しないのだった。抗議する一止に、小幡先生は「あの板垣先生が一目置いているっていうから、どんな人かって楽しみにしてたけど、ちょっとフットワークが軽くて、ちょっと内視鏡がうまいだけの、どこにでもいる偽善者タイプの医者じゃない」と言い放つ。彼女の覚悟を知った一止は、自分の医師としてのスキルに疑問を持ち始める。そして、より良い医者となるために、本庄病院を離れる決意をするのだった。


イチさんの古めかしいとも言えるたたずまいにはすっかり慣れた。御嶽荘の個性的な住人たちにも愛着さえ感じるようになった。さらに本庄病院の面々もずいぶんと親しい存在になっている。そして、相変わらずの引きの栗原ぶりにも苦笑するしかない。だが騒然と息つく暇もない最前線の医療現場にあっても、栗原一止はいつでも静かな雰囲気を漂わせている。慌てていてさえ、悩んでいてさえである。それがなによりも心地好い。真面目すぎるのだろうが、それがとても好ましい。いまできる最善を尽くしつつも、自らの在りように疑問を持つ一止のこれからが、大きなものに守られますように、と祈らずにはいられない。しんと心が静まる一冊である。

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