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論理爆弾*有栖川有栖

  • 2013/01/19(土) 20:30:57

論理爆弾論理爆弾
(2012/12/20)
有栖川 有栖

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南北に分断され、探偵行為が禁じられた日本。空閑純は探偵を目指していた。彼女の両親は名探偵として活躍していたが、母は事件を追い行方不明となり、父は殺人事件の推理をした罪で逮捕され、裁判を待つ身となっている。失踪した母の足跡をたどり、純は九州の山奥にある深影村を訪れた。だが、テロにより村に通じる唯一のトンネルが破壊され、連続殺人事件が発生!暗躍する特殊部隊、蠢く陰謀、蔓延るコンピュータウイルス―論理爆弾!少女は探偵の業をその身に刻み、真実と対峙する。


『闇の喇叭』『真夜中の探偵』につづく空閑純(そらしず じゅん)シリーズの三作目。
友人たちともきっぱりと別れ、空閑純は探偵・ソラとして、わずかな手掛かりで母を探しに深影村へやってきた。舞台は、現実とほんの少しずれたパラレルワールドであり、北海道は日ノ本共和国となり、休戦しているとは言え、日本国とは敵対関係にある。純が深影村に着くとまもなく、北(日ノ本共和国)によってトンネルが破壊され、連続殺人事件が起こる。母の痕跡と行方の手掛りを求めて歩き回る純も、否応なく事件に巻き込まれることになるのである。ただでさえ、探偵が違法とされ、それ以外にも現実と違って不自由なことが多々あるのに、さらに人里離れた村に閉じ込められるといったマイナス条件ばかりのなか、それでも頼れる味方を得て事件を推理し、母の手掛りをも見つけようとする純の真摯さには頭が下がる。やはり探偵の素質と一緒に暮らしていたころの両親の教えによるところが大きいのだろう。母が無事でいる希望が湧いたいま、次に考えるのは父の裁判のことだろうか。一家が一緒に暮らせるようになるまで見守り続けたいシリーズである。

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