佐渡の三人*長嶋有

  • 2013/01/29(火) 07:20:15

佐渡の三人佐渡の三人
(2012/09/26)
長嶋 有

商品詳細を見る

「佐渡の三人」―佐渡行その1。おばちゃん(大叔父の奥さん)が亡くなった。儀礼嫌いの大叔父に代わり、なぜか私と弟、父の三人が佐渡にある一族の墓へお骨を納めに行くことに。「戒名」―ワンマンな祖母は生前に自分で戒名を決めてしまった。問題は字数が足りないことだ、と寝たきりの祖父母を世話する、ひきこもりの弟がいう。「スリーナインで大往生」―佐渡行その2。祖父が亡くなった。享年99歳9カ月。「惜しい!」「スリーナインだ」と家族は盛り上がって…。「旅人」―佐渡行その3。大叔父が亡くなった。祖母との「ダブル納骨」のため、父の後妻を含め一族7人が佐渡に集まった。…そして、「納骨」の旅はまだまだつづく。


ちょっぴり変わった――と、少なくとも物書きの私=道子には自覚のある―― 一族の納骨の物語である。長らく訪れることもなかった一族の出身地佐渡の寺へ亡くなった人のお骨を納めに行くという、ただそれだけが目的の旅である。旅の都度、もちろん納める骨の主は違い、旅の様子も心構えも少しずつ違う。世間体とか儀礼とかに構わない一族の、それでもなんとなく学習し、進化――なのか後退なのか――する旅のあれこれが哀しくも面白い。決しておちゃらけているわけではなく、それでもウケることを第一義とする彼らの、真面目さゆえのある種の照れに頷けもする。行き当たりばったりに見えて、実はなにより心がこもっているような気もする一冊である。

この記事に対するトラックバック

この記事のトラックバックURL

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

この記事に対するコメント

この記事にコメントする

管理者にだけ表示を許可する