ちょうちんそで*江國香織

  • 2013/03/04(月) 16:38:54

ちょうちんそでちょうちんそで
(2013/01/31)
江國 香織

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取り戻そうと思えば、いつでも取り返せる――闇の扉を開く新しい長編。いい匂い。あの街の夕方の匂い――人生の黄昏時を迎え、一人で暮らす雛子の元を訪れる様々な人々。息子たちと幸福な家族、怪しげな隣室の男と友人たち、そして誰よりも言葉を交わすある大切な人。人々の秘密が解かれる時、雛子の謎も解かれてゆく。人と人との関わりの不思議さ、切なさと歓びを芳しく描き上げる長編。記憶と愛を巡る物語。


高齢者マンションで一人暮らす54歳の雛子が主人公である。自ら周囲の人たちとかかわることをせず、かと言ってまったく人を寄せつけないわけでもなく、周りからは、なんとなくとらえどころのない存在とみなされている。現在(いま)を生きているというより、過去(むかし)を漂っているような印象である。場面を変えて語られる人たちと雛子とのつながりが、章を追うごとに少しずつ明らかになっていき、だからと言って雛子のしあわせな日々が見えてくるわけでもない。物語の本筋には関係のないような細かい描写がとても濃やかで、それこそがいちばん大切なことなのかもしれないと思わされるほどである。殺風景ながらも濃やかな気配に満ちた雛子の部屋が目に浮かぶような一冊である。




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じゃじゃままブックレビュー

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ちょうちんそで 江國香織著。

《★★★★》 江國氏らしい、なんの解決もなく、なんの進展もなく、ただそこに日常があるだけ。 中途半端といえばそうなんだけど、それが江國ワールドなんだよね。 江國ワールドに

  • From: じゃじゃままブックレビュー |
  • 2013/08/21(水) 11:14:54

この記事に対するコメント

江國ワールド全開でしたね。
結構好きなんですよね~、共感できないし、まったく自分とは違う世界観なんだけど、波乱万丈な人生をいとも簡単に生きてそうな、あの感じ。
小島先生の過去を読んでみたいですね。

  • 投稿者: じゃじゃまま
  • 2013/08/21(水) 11:17:22
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そうなんです。
割と共感できないと好きになれないことが多いのだけれど、江國作品は、共感できる部分は少ないし、自分とはかけ離れた世界なのにもかかわらず、なぜか嫌いになれないんですよね。
ちょっぴり地に足がつかない感じで一緒に漂ってしまうような心地で読んでしまいます。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2013/08/21(水) 13:42:02
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