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いちばん長い夜に*乃南アサ

  • 2013/03/10(日) 20:10:10

いちばん長い夜にいちばん長い夜に
(2013/01/31)
乃南 アサ

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わたしは、まだやり直せるのだろうか? 幸せになって、いいのだろうか? 刑務所で知合った前科持ちの芭子と綾香は、東京下町で肩を寄せ合うように暮らし始めたが――。健気に生きる彼女たちのサスペンスフルな日常は、やがて大震災によって激しく変化していく。二人は、新しい人生の扉を見つけられるのだろうか?


前半と後半でがらっと様相が変わる。前半は前作『いつか陽のあたる場所で』に引き続き、芭子と綾香が身を寄せ合ってひっそりと生きている日々の出来事が、それぞれの性格や境遇のの違いを織り込みながら描かれている。家族のことをかたくなに語ろうとしなかった綾香が手放さざるを得なかった我が子のことを胸の中でこれ以上ないほど大切にしていると気づいた芭子が、綾香の故郷仙台に子どものその後を調べに出かけたまさにその日、あの大地震に遭い、大変な思いをして東京に戻ってからの後半は、ふたりの――ことに綾香の――心の持ちようや生き方がこれまでとはがらっと変わり、生命の尊さや償うということと真正面から向き合うことになるのである。芭子が思い描いた未来とは違うが、綾香も芭子もそれぞれが、前向きに生きていくだろうということがうかがい知れるラストで救われる思いになった。震災の描写は、偶然にも著者の実体験ということで、より生々しく圧倒的である。どんな暮らしをしようと、芭子と綾香の絆は切れることはないだろう、いつまでも姉妹のようにいてほしい、と思わされる一冊である。




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じゃじゃままブックレビュー

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いちばん長い夜に 乃南アサ著。

《★★★★》 このシリーズもとうとうラスト。 前科者同士の、綾香と芭子。「刑務所」(あそこ)で知り合った二人が、天涯孤独の身同士肩を寄せ合って、谷中でつつましく生き直そうという物語。 綾香には、パン職人になっていつか自分の店を持ちたいという夢があった。 …

  • From: じゃじゃままブックレビュー |
  • 2013/10/16(水) 17:54:08

この記事に対するコメント

おひさしぶりです
たしかこのシリーズは三作目ですよね
テレビドラマにもなっていて
キャストがイメージと違っていたのですが
慣れとは恐ろしいもので「これもありかな」と思ったりしました
ただ原作の比較的淡々としたイメージを
妙に感動を盛り上げる演出にしたのは
かなり気にかかります

  • 投稿者: チョロ
  • 2013/03/13(水) 16:25:14
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ドラマ、観ていないのだけれど
原作が先だと、イメージを裏切られることがほとんどですね。
最たる例が湯川先生。(><;
それも次第に違和感が薄れ
原作の方がドラマに合わせるようになった気もします。
いま放送中のドラマで言えば
ビブリア古書堂の栞子さんも、まったく違いますね。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2013/03/13(水) 17:22:49
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私もドラマは見てないのですが、このシリーズはこの完結編でようやく好きになれました。いつもうっかりが多い綾香に苛々して・・・でも二人の本当の姿にようやく気付けました。できれば、南君とのことが芭子の実家との架け橋になってくれれば、なんて思います。

  • 投稿者: じゃじゃまま
  • 2013/10/16(水) 17:56:56
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やはりどうしても暗くて内向きなイメージでしたものね。
でも、今作では、手探りながら前へ向かっていく気力のようなものが感じられて
ちょっとほっとしました。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2013/10/16(水) 21:03:51
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