七十歳死亡法案、可決*垣谷美雨

  • 2013/03/31(日) 11:09:55

七十歳死亡法案、可決七十歳死亡法案、可決
(2012/01/27)
垣谷 美雨

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2年後、お義母さんが死んでくれる。
「家族」の本音を、生々しくリアルに描く新・家族小説。

≪家族って一体なんだろう?≫2020年、65歳以上の高齢者が国民の3割を超えた日本。社会保障費は過去最高を更新し続け、国家財政は破綻寸前まで追い詰められていた。そこでついに政府は大きな決断を下す。「日本国籍を有する七十歳以上の国民は誕生日から30日以内に死ななければならない」という七十歳死亡法案を可決したのだ。2年後に法律の施行を控えたある日、ごくありふれた家庭の宝田家にも小さな変化が起こり始めていた。義母の介護から解放されようとしている妻、家のことはすべて妻に任せきりの能天気な夫、超一流大学を卒業しながら就職に失敗し引きこもっている息子、ひび割れかけた家族から逃げ出した娘、寝たきりでわがまま放題の祖母。一番身近で誰よりも分かってほしい家族なのに、どうして誰もこの痛みを分かってくれないんだろう。究極の法律が、浮びあがらせた本当の「家族」とは?大注目の作家が、生々しくリアルに描き出す、新・家族小説。


なんとも衝撃的なタイトルである。そして、第一印象の衝撃のままに物語は進んでいく。仕事にかこつけて実母の介護はもちろん家庭を顧みようとしない夫、自分のことばかり考えて家を出て行った娘、プライドばかり高く打たれ弱くて引き篭もっている息子。家事も介護も妻である東洋子の肩にすべてかかっている。そして家族は何の疑問も持たずに当然のこととしている。介護されている姑も、感謝の言葉ひとつなく居丈高な態度である。そんな時に出てきた七十歳死亡法案である。「あと二年でお義母さんが死んでくれる」と東洋子が思ってしまうのをだれが責められるだろう。それぞれの年代、それぞれの立場や思惑によって賛否両論が世間を賑わせ、さまざまな反応を生む中、二年を待てずに東洋子の忍耐は限界を超え、家を出ることを選ぶ。それによって宝田家は変わらざるを得なくなる。七十歳死亡法案の日本全国に及ぼす影響を宝田家に集約した物語だが、結末は悲惨なものではなく、救われる。現実的には過激すぎると思うが、これくらいの爆弾施策でしか対応できないところまで来ているのではないかという危惧もある。我が身に引き比べていろいろと考えさせられる一冊だった。

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この記事に対するコメント

ついに出ちゃったか?って感じの本でしたが
なかなかに奥深いものがありましたね
小説というのは最終的に死生観を語るものだとも思うのですが
こういうやりかたもいいですね
昨今の美魔女だの若く見られるテクニックだのを
嗤っているような部分もあっておもしろく読みました
私自身は70歳までに20年を切ってしまいましたが…

  • 投稿者: チョロ
  • 2013/04/01(月) 17:39:06
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衝撃的でしたけれど、馬飼野総理に一票!と言いたい気持ちにもなりました。
物語のラストの数年後を見てみたいような気がします。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2013/04/01(月) 18:11:52
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